安全運転アドバイス
「四輪と二輪編」

三井住友海上火災保険株式会社発行の「安全ドライブABC」を一部引用

四輪と二輪は特徴が全く異なるため、それぞれの特性を知らないと非常に危険です。
そこで、混合交通のパートナーとして、お互いを理解し、安全な走行を確保するためのポイントをまとめてみました。

四輪と二輪の事故要因

二輪は、四輪の死角に入りやすく、対向車の陰はもちろん、細いピラーの中にさえも隠れて見えなくなることがあります。

二輪は、四輪に比べて小さく、250ccクラスの全長×全幅は、約2.0m×0.7mしかありません。ところが四輪は、ファミリータイプでも、約4.0m×1.7mで、2倍以上の大きさです。この大きさの違いが、四輪と二輪の様々な事故要因に影響することになります。

二輪は小さいため、距離感やスピード感がつかみにくく、実際の位置より遠い場所を、実際より遅いスピードで走行しているように見えます。

四輪と二輪・事故多発パターン

右折事故

事故状況図

四輪の注意点

二輪は車体が小さいため、実際より遠く・遅く感じますが、思ったより近く・速いものです。強引に右折すると、右直事故になりかねません。また、図のように、前方に対向右折車がある場合には、対向車の陰になった二輪は見えません。右折時には、直進してくる二輪にくれぐれも注意しましょう。

ニ輪の注意点

四輪からは、二輪が遠く・遅く見えるため、気づいていても強引に右折してきます。また、対向右折車等の四輪がいると、ドライバーは四輪に注意を向けてしまい、二輪を見落とすことがあります。早めに発見されるように昼間でもライトをつけるとともに、右折車は待ってくれないと考えて走行しましょう。

左折事故

事故状況図

四輪の注意点

左後方を走行している二輪は、案外見えないものです。二輪に気づかずに、左折のために減速すると、 二輪が並びかけてきますから、ここで左折すると巻き込んでしまいます。なるべく早めに左折のウインカーを出して、二輪が並走してこないことを確認してから左折しましょう。

ニ輪の注意点

四輪はハンドルを切ってからウインカーが出てくることが多いため、ウインカーだけに注意していると 非常に危険です。交差点付近では、四輪の動き(直進するのか左折するのか等)に注意し、並走するのは避けましょう。

サンキュー事故

事故状況図

四輪の注意点

渋滞時等に、対向車から道を譲られると、その車に感謝するあまり、安全確認もそこそこに急いで右折してしまうことがあります。このような時に、譲ってくれた車の左脇を走行している二輪を見落としがちです。道を譲られた場合には、決して焦らず、安全確認を十分に行ないましょう。

ニ輪の注意点

渋滞時等に、脇道や駐車場の出入口付近で、四輪が停止したら、まず対向車が右折してくるものと考え ましょう。右折してくる車は、二輪に気づいていないこともあります。この点を十分に意識して、慎重に走行しましょう。

ヘルメットは正しく着用しましょう

ヘルメットは、頭に合ったサイズのものを正しく着用しましょう。

  • ヘルメットが脱げないように、あごひもは、しっかり締める。
  • 強い衝撃を受けたヘルメットは、衝撃吸収力が低下しているので使用しない。
  • 穴をあけたり、改造したりしない。
  • ベンジン等の溶剤や熱湯は、衝撃吸収材を弱めるので使用しない。同様に、カラースプレーも使用しない。
自動二輪

カーブでの単独事故が多いことが特徴です。ライダーと二輪車が、曲がる方向に合わせ、内側に傾いて(バンク)走行します。これは、最も不安定な状態 であり、少しでもバランスを崩すと転倒してしまいます。カーブを曲がる時には、十分に注意しましょう。

原付バイク

見通しの悪い交差点での出合頭事故が多いことが特徴です。原付バイクは手軽なので、つい自転車感覚で乗ってしまいます。そのため、周囲に 甘えた運転になりやすく、基本的な一時停止の動作すら省略してしまうことが多いようです。交差点等では、必ず足を着いて停止して、安全確認をしましょう。

制動距離が短い

二輪のブレーキは、前輪と後輪で独立しています。このため、四輪よりもはやく減速し、驚くほど短距離で停止することがあります。

四輪の皆さんへ

二輪は、非常に短い距離で停止します。二輪に後続する時には、交差点等の手前で二輪が急停止する場合のことを考え、常に十分な車間距離をとっておきましょう。

二輪の皆さんへ

四輪は、二輪ほど短い距離では停止できません。急停止するような時には、追突されるのを避けるため、後続車を確認し、若干左側に寄って、 四輪に道をあけて止まりましょう。

夜は大敵

二輪のライトは、車体の中心近くにあるので、手前ほど照射範囲が狭く、路面状態や左右の様子が見えにくくなっています。また、夜間 はライトの光しか見えませんので、距離感もスピード感も把握しにくくなります。

四輪の皆さんへ

対向してくる二輪のライトを見ただけでは、原付バイクと自動二輪との区別はできません。ですから、二輪のライトを見たらスピードの速い自動二輪だと思いましょう。

二輪の皆さんへ

ライトの照射範囲が狭いので、照らしているところだけでなく、その先を見るようにしましょう。夜間走行では、昼間以上に周囲に気を配る必要があります。

バランスを失いやすい

四本のタイヤで車体を支えている四輪と違い、二本のタイヤの上でバランスをとっている二輪は、わずかなことでバランスを失います。主なものとしては、急ブレーキ・ 急ハンドル等ライダー自身によるもの、路面状態・天候等によるもの、そして四輪との関係によるものとがあります。

安全運転アドバイス
「自動二輪編」

株式会社インターリスク総研発行の「安全運転アドバイス(自動二輪編)」を一部引用

車と比べ自動二輪車は車体が小さく、他車から見落とされやすいので十分注意して運転しましょう。

自動車、原付に比べ単独での「転倒」事故が多い

車両の単独事故の割合が、原付25%、自動車 3.5%に比べ34%とその割合が多くなっています。 車両単独事故の中でも、「転倒」事故が65%、事故 駐車車全体をみても22%発生しています。

多発事故から学ぶ、防衛運転

単独での「転倒」

カーブの先から出現した対向四輪自動車に驚き、反射的に急ハンドルや急ブレーキの操作をし、バランスを崩して転倒したり、ガードレールに衝突する事故が多発。

カーブの先の対向車の存在を想定し、あらかじめ十分に減速して進入する「スローイン」 を実践し、見通し距離をできるだけ長くするため、車線の外側によって走行しましょう。*車体を傾けながらブレーキングすると、バランスがくずれるので、どうしても必要な事態になったときは、車体を起こしてからブレーキングするのが鉄則です。

車両との「右折時衝突」

前にいる四輪自動車が右折したので、それに追従して右折したところ、直進してきた対向車と衝突する事故が多発。

前車が右折してもすぐに追従せず、前車の陰になっている対向車線の状況を自分の目で確認できるまで待機しましょう。

車両との「出会い頭衝突」

無信号交差点での出会い頭衝突事故で、 特に左方の交差路から進行してきた四輪自動車との事故が多発。

左方の交差路からくる四輪自動車から見落とされやすいので、優先道路でも、交差点の早期発見に努め、左方の交差路からく る車の有無や動向をしっかり確認しましょう。*運転中の視線の動きは上下に長く、左右に短いため、交差路や交差車両の発見が遅れがちになります。

自分を守る7か条

  1. 白・黄・赤などのよく目立つ服装で運転しましょう
  2. 他から見落とされやすいので昼間でも自動点灯、夜間はウェアに反射材をつけましょう
  3. JISマークのついたヘルメットを正しく着用しましょう
  4. 整備や点検は十分にしましょう
  5. 不正な改造はやめましょう
  6. 運転するときの注意力は路面に集中しがちに!交通環境に潜む「危険」を予測した運転に努めるようにしましょう
  7. 免許歴5年以上による事故が大半!基本に忠実な運転をこころがけましょう